2018.2.26
赤外線カメラの低価格化、画質の向上などに伴って、食品や農産物の検査ラインにおける異物検出や鮮度判定、ウエハーやパネル等の品質管理等の用途での赤外線カメラの導入が増えています。ただ、赤外線カメラを使用して効果的な画像を得るためには、用途に適した専用の照明を使用する必要があります。
今回は、赤外線カメラと専用照明による撮像の有効性や活用事例などをご紹介します。
■赤外線カメラの導入
一般的に人の目が感知できる可視光の波長は400~700nm程度とされており、これより長い波長は赤外線と
されています。赤外線を利用した画像検査は、これまでも行われており、従来からある一般的な画像検査用の
産業用カメラも多く使われています。これらのカメラでは、可視光の波長だけではなく、赤外線のうち比較的波長の
短い1,000nm程度までは低いながらも感度を持っているものも多く、この波長帯域では画像を取得できます。
近年は、より長い波長の赤外線の帯域に感度をもった専用の赤外線カメラが普及しつつあります。
900~1,700nm程度の波長帯域に感度をもつものが多くラインアップされており、最近はより長い2,550nmまで感度を
もつものも発売されています。感知できる波長帯域の幅が拡がっただけでなく、高解像度化やラインスキャンタイプの
登場もあり、様々な検査への応用が可能となってきています。
こうした赤外線カメラでは、従来からある画像検査用の産業用カメラでは得ることのできない画像を取得すること
ができるため、これまで不可能だった検査が可能となりつつあります。ただし、このような赤外線カメラを使用する
場合、それらに適した専用の照明を使用することが不可欠となります。というのも、一般的な蛍光灯や白色LED照明
には、赤外線がほとんど含まれていないため、これらの照明を使用しても赤外線カメラでは有効な画像を得ることは
できないためです。
従来の1,000nm程度までの感度をもつ産業用カメラによる赤外線を使用した画像取得では、850nm前後や950nm
前後に放射のピークをもつLED照明が多く使用されていましたが、赤外線カメラはさらに長い波長に感度をもつため、
このような照明も有効ではありません。このため、当社ではより長い波長に対応したLED照明および
特殊ハロゲン照明のラインアップを拡充しています。
■赤外照明のラインアップ
上記のような赤外線カメラによる画像取得に対応するため、赤外LEDを使用した照明としては、従来からある850nm、
950nmだけではなく、1,050nm~1,550nmの範囲にピーク波長をもつ各種LED照明をラインアップしており、
検査内容に応じて最適な波長を選択することができます。形状やサイズも、用途や設置条件等に合わせて様々な
タイプを製作することが可能です。バータイプやリングタイプ、同軸タイプ、面タイプ等もあり、
反射構成や透過構成をはじめ、様々な撮像構成に応用することが可能です。
また、さらに長い波長が必要とされる赤外線カメラに対しては、ハロゲン照明を用いることができます。この波長帯域
においては、LED照明では実用的な出力を得ることが難しく、また価格も高くなりがちであることから、従来から
利用されているハロゲン照明が有効となります。しかし、ハロゲン照明はLED照明と比較すると寿命が短く、
ハロゲンランプの交換がしばしば発生することが、インラインにおける画像検査の妨げとなりがちでした。そこで
当社では、特殊なカスタムランプを使用した長寿命のハロゲン照明を製品化することでこの問題を回避し、インライン
での検査装置への導入の実績が増えつつあります。
■事例紹介
赤外線カメラと赤外照明を使用した画像を用いると、従来は困難だった検査も可能となります。
例えば、物質は可視光や赤外線に対してそれぞれ固有の反射特性をもちますが、その差を利用した検査が可能となります。
下は、穀物に混入した異物検出の例です。可視光では反射率にほとんど差がないため、混入物を画像から検知するのは
難しいのですが、赤外帯域では反射率の差が大きく、画像中央の異物の反射率が高いため、周囲とのコントラストが
明瞭となり、画像処理で容易に検出できます。
・撮像サンプル
穀物混入物の検出
可視光での撮像
赤外線での撮像
なお、赤外線は可視光と比較すると透過性が高く、一見不透明なものであっても透明であるように撮像することが
できます。また、水分は赤外領域の1,450nm付近の吸収率が高いため、水分のある部分は赤外線が吸収されて画像上
では黒く撮像されます。下は、不透明な白色フィルム内にある内容物の有無の検出例です。不透明な包装フィルムは
赤外線を透過しますが、内容物に含まれる水分は赤外線を吸収します。このため、内容物を黒く撮像することが
でき、内容物の有無を高いコントラストから判別することが可能となります。
この効果を利用して、包装後の内容物の有無・姿勢等の検出やシール部の噛みこみ検出等への応用もできます。
・撮像サンプル
包装フィルム内の内容物の有無検出
可視光での撮像
赤外線での撮像
■撮像テストのご案内
可視光とは異なり、赤外線は人の目では感知できないため、赤外線カメラを使用してどのような画像が取得できるかは、
実際に撮像してみないとわからないというケースが多いものです。
シーシーエスのテスティングルームでは、赤外カメラおよび赤外照明を用いた撮像テストを行っています。
このテストでは、検査内容に応じた最適な撮像構成を検証しご提案しております。
京都本社・東京営業所・名古屋営業所・仙台営業所のほか、
金沢・本厚木・守山・淀屋橋・博多・熊本のテスティングルームでお試しいただけます。
下記よりお気軽にお問合せください。
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